R6 7月合宿(三岩岳・会津駒ケ岳)

 こんにちは。4年の川島です。

今回は7月に三岩岳、会津駒ヶ岳で実施したトレーニング合宿についてご報告します。この合宿は8,9月に控えたアラスカ遠征の訓練として行いました。尾瀬ヶ原に程近い会津駒ケ岳には高層湿原が広がっており、三岩岳から会津駒ヶ岳稜線の未整備区間では湿地歩きができます。そこでアラスカの環境を疑似体験するために、部としてもあまり経験してこなかった藪漕ぎに挑んできました。

それではその一部始終をご覧ください!

 

【期間】令和6713()~同年715()

【場所】三岩岳 会津駒ケ岳

【メンバー】4年:川島、高橋、増渕 3年:横井 2年:下嶋、吉田

【行程】7/13 会津高原尾瀬口駅🚌あずき温泉——三岩岳登山口——三岩岳——C1

    7/14 C1——三岩岳——1918m地点——大戸沢岳——標高2060m地点湿原C2

    7/15 C2——会津駒ケ岳—滝沢登山口


1日目

まずは車窓から。普段の合宿は東京から西の方面に行くことが多いため、東北方面の電車は新鮮でした。特に栃木と会津を結ぶ野岩鉄道はレトロな香りが漂い、旅情を搔き立ててくれます。

貸切状態で嬉しいやら寂しいやら

この日がちょうど山開きだったこともあり、到着駅の会津高原尾瀬口は30名を超える登山客で賑わっていました。バスを降りてからは登山口まで少し歩きます。


”酷体”コースと評する声も



三岩岳までの樹林帯は終始スロープ状の急斜面が続き、中々登りごたえがあります。周りの木々はブナなどの落葉樹で清々しい気持ちになれます。

三岩岳まではまだまだ

実は、1年前に今回とは別のメンバーがバックカントリースキーでこの三岩岳に挑戦していたのですが、この急勾配や風雪、道具の破損などに苦しめられ撤退しているのでした。積雪がある中、板を持ってこの斜面を進むのはどれほど大変だっただろう、と彼らの苦闘を想像しながら進みます。


道中、多くの登山者とすれ違いましたが、普通日帰りで行く山に大荷物を背負っていく私たちが珍しいのか、いつも以上に「何キロあるの?」と声をかけてもらえます。間接的にすごいね!と言われているようで内心照れます。





さて、避難小屋までやってきましたが今晩の宿はここではありません。内見してその綺麗さに心惹かれますが、訓練のため来た私たちはさらに進んだところでテントを張ります。


ミニチュア風

自分たちが登ってきた尾根を見下ろすと苦労が報われます。


頂上までもう一息



三岩岳山頂到着。標識は想像以上に控えめですがこれでも東北百名山です。



頂上からはこの景色。明日以降行く稜線や会津駒ケ岳が望めます。手前で藪がワサワサしていますが、はてどうしたものか。

 

三岩岳までの登りで予定以上に時間を使ってしまったため、三岩岳の先での幕営は諦め、山頂の手前でテントを張ることにします。


圧倒的開放感!

日本にもクマはいますが、ベアカントリーと言われるアラスカでは徹底した対策が推奨されています。クマスプレーの携帯はもちろん、食糧や薬品など匂いのするものは全てベアキャニスターと呼ばれる容器に入れ、テントからは離れたところに置いておくことが常識なようです。また、食事もテント内や付近ではなく、クマが匂いに釣られてやって来ても人間との接触を避けられるように、離れた場所で行う必要があります。

今回の合宿ではそれら形式に則って行い、クマが食事中に来たとしてもすぐに退散できるようにテントを張る前に食事をとります。

最後にふかふか(?)な笹藪をベット代わりにしてこの日の行動を終了しました。


2日目


さあ、夜明けと共に出発です。この日は藪、加えて午後からは雨が待ち受けていることが予想され、タフな一日となりそうです。



初めてのことで戸惑いつつも、力業で三岩岳山頂から見えていた藪を抜けていきます。



湿地帯はこの通り足が沈み込み、うっかりすると足を取られます。

いい具合に陽光が差し込んできて


思わず立ち止まる



歩きやすい草原も束の間、再び藪漕ぎフェーズを突き進みます。

 

痕はすんなり引いてくれたそうです

藪漕ぎの先頭は冬のラッセルと同じく消耗が激しいので、4年生3名が交代で担当していました。藪漕ぎは反発のある低木が手ごわく、上手に避けられればよいのですが、大抵は体をねじ込んで進むしかありません。しかし無闇に突っ込んで行くと、足元に隠れている枝木が脛にクリティカルヒットし悶絶することに。

下山後、吉田君の足は特にアザだらけになっていましたが、決して"しごき"があったわけではありません!あくまで自損事故であったことを強調しておきます。訓練のためでもなければ、夏に藪漕ぎをするものではないと痛感しました…




たまに現れる草原で気力をチャージしてからまた歩き始めます。写真だと良い画が多く切り取られてしまいますが、実際と言いますか体感的な藪と草原の比率は91でした。


曇ってはいましたが水の消費が激しく、道中、水たまりに毛が生えた程度の池塘で水を汲み、浄水して飲み水としました。アラスカでも飲み水は沢や湖で確保することになります。

藪漕ぎに苦戦しているうちに、とうとう雨が降り始めてきました。

生き生きし始めた草花を愛でてなんとか心の平静を保ちます。




大戸沢岳を越え、樹海のように広がる薮をダラダラとくだりキャンプ地となる湿原を目指します。一向に視界が開けずいつまでも現れる薮の海に何度失望したことでしょう。この時ばかりは写真を撮る気力が出ませんでした。














しかし、山の神様はちゃんと終わりを用意してくれており、10時間超の薮との格闘の末湿原に出ることができました。

開けた草原にこじんまりとした池塘。外でのんびりしたいところですが、雨で体を冷やしていたのでテント内にそそくさと退散します。

疲労もありこの日はぐっすり眠りにつくことができました。


3日目



雨が降っていてもクマ対策は怠れません。クマが顔を出したらすぐに退散できようテントは撤収し、ツェルトを張った簡易テントの中で朝食をとります。




折り畳み傘があると何かと便利。駒ヶ岳を目指していざ出発です。

当然のように藪


しかし、駒ヶ岳の山頂周辺は比較的高頻度で草原が現れ、一気に距離を稼ぐことができます。


木が密集している稜線を避けて笹藪の斜面をトラバース。笹を鷲掴みして谷側に転げ落ちないよう踏ん張ります。


藪漕ぎ中のよそ見は禁物です。少し気を抜くと藪に視界を遮られ、あっという間に前の人を見失います。見失ったら先行者のガサゴソ音を探ったり声を掛け合ったりして合流します。ただ集中している分、時間の経過感覚が速い、ザックの重さを感じにくいという恩恵があったりなかったり…

 

そして、その時は突然訪れました。


どぅわぁー!道にでたぞー!


午前6:30、会津駒ヶ岳登頂!我々藪漕ぎ隊を出迎えてくれる人がいることを期待しましたが、いませんでしたね…

藪漕ぎて しみ入る小径 夏の雨

ただ道があるというだけでなんとありがたいことか。藪漕ぎを経験して初めて感じられる境地がありました。その後の下山道中がこれまでになく軽快だったことは言うまでもありません。

駒ヶ岳のハイライト

ゴール目前のところまでやって来ました。雨の影響で川は増水しており、予定していた釣りや渡渉訓練は中止し、後日行うことにします。


最後は下山口の檜枝岐村で温泉やご飯を満喫し、再び会津高原尾瀬口を経て帰路に着くのでした🚋

 

3月にも訓練合宿を行いましたが、今回は環境に加え、行動や装備の面でもアラスカ遠征に近づけて活動することができ実りある合宿となりました。

また、法政ワンゲルにとって未開拓の藪漕ぎという分野に挑戦できたことも意義があったと思います。今後、夏ではなく残雪期や秋頃に藪漕ぎを目的とした合宿をやりたいな〜、やってほしいな〜と思うのですが、後輩の皆さんいかがでしょうか?静かな山を満喫したい人や自由度の高い活動をしたいという人は、力を付けてぜひ挑戦してみてください!

 

それでは後輩達に思いを託したところで7月合宿(三岩岳・会津駒ヶ岳)の報告を終わります。ここまでお読みいただきありがとうございました!

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